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旭化成 DX

特集

デジタルトランスフォーメーション(DX)の現状


◆高まるデジタルトランスフォーメーションへの関心


デジタルトランスフォーメーション(DX)への関心が

日本でも高まっている。 


その動きを 

Google トレンドでみると、

2017 年 7 月以降に 

DX で検索される頻度が 高くなっており、

ここ 2 年ほどで関心が急速に高まってきたことが分かる。




◆概念として提唱され、

IT企業の革新的なビジネスの成功で具体化


DXとは、

2004年に

スウェーデンウメオ大学の

エリック・ストルターマン教授

提唱した

「ITの浸透が、

人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させ る」

という概念であった。


この概念を、

デジタル技術を活用して

従来と異なる

革 新的なビジネス

を展開することで

成功をおさめてきた

Amazon.com

Uber

などのIT 企業が具体化し、

業界を変えていった。


たとえば、

Amazon.com

デジタル技術を活用して

使いやすいパソコン画面や

スマホのアプリ、

おすすめ商品を提示するリコメンド機能や

購入者評価などを提供 することで

ネット販売の市場を拡大させた。


そして、

追随企業の参入や、

既存企 業が

ネット販売に軸足を移すことで

小売業界に変化がもたらされ、

業界は変貌し ていった。


Uberは車で移動したい人と、

車を所有し、

空き時間がある人の

マッチ ングに着目し、

使い勝手のよい配車アプリを

作成・提供することで、

配車の方 法、

ひいては

タクシー業界を変えていった。



映像ストリーミングサービス最大手。もとはオンラインの DVD レンタル業 者。現在は既存作品だけでなく、オリジナル作品も配信するまでに成長。

     Spotify

デジタル化した音楽を月額定額制の聴き放題サービスとして提供。CD やダウ ンロードが主流だった音楽業界を音楽データ配信サービス中心に変えていっ た。

         Amazon.com

ユーザーファーストを徹底したユーザーインターフェースやレコメンデー

ション、カスタマーレビューなどの機能をデジタル技術で実現して支持を獲得 してシェアを拡大。書籍販売から広く小売業全般の変革をもたらした。

  Uber 車で移動したい人と、車を所有し、空き時間がある人を、デジタル技術を活 用したアプリで仲介することで、タクシー業界に変革をもたらした。

出所:各種報道資料を基に旭リサーチセンター作成。




◆自社の変革もDXの範疇に


現在では、

デジタル技術を活用した自社の変革、

具体的には

自社の文化や風 土、

業務内容や社員の働き方の変革も

DXと捉えられている。


その一例が、

建設機械メーカーから

安全で生産性の高い現場を創造する

ソ リューションプロバイダーに

自社を変革しようとしている

コマツの「スマートコ ンストラクション」である。


これは

建設生産の全プロセスのデータ

情報通信技 術(ICT)で有機的につなぎ

測量、

設計から施工、

検査

までのすべて見える 化し、

安全で

生産性の高い

現場

を創造しようとするものである。

具体的には

測量 にドローンを、

設計に3次元CADを、

施工では3次元CADで作った設計データを基に したマシンコントロールを導入する。


SOMPOホールディングス

DXに取り組み

自社を変革しようとしている。

同社 は

デジタル戦略を

中期経営計画の主軸の1つとして、

積極的にDXに取り組み、

デ ジタル対応力をコアコンピタンスとした

「真のサービス産業」

のグループになる

ことを目指している。


そのために、

シリコンバレーでの経験が豊富な人材を

CDO

 (Chief Digital Officer:デジタル担当役員)

に招き、

デジタルラボや

デジタル 戦略部

を創設した。


具体的には、

損害調査にドローンを14年から導入し、

介護事業ではセンサの活用に、

コールセンターではAIの活用に取り組んでいる。


    Airbnb

   旅行者と物件所有者を、

ネットワークを通して仲介するサービスを提供。

世 界 192 カ国でサービスを展開しており、

既存の旅行業界に変革をもたらしてい る。

ARC WATCHING 2019年7月


特集

◆日本の化学企業もデジタル技術を活用した変革に取り組み始めた


デジタル技術を活用して

自社を変革する動きに

化学企業も例外ではない。


経営 戦略や

事業計画に

DXに取り組むことを明記する企業が増えている。


たとえば、

三菱ケミカルホールディングス

「APTSIS事業説明会」

(18年12 月)

次世代テーマの早期事業化を主要経営施策の一つとし、

その実現手段をDX としている。

同社は

IBMからCDOを招き、

30人規模のチームをコアに

各事業会社と

個別プロジェクトを

展開して

ビジネス全体のDXを進めている。


住友化学

「2019-2021年度 中期事業計画」

(19年3月)

デジタル革新による新たな価値創造

と、

イノベーションを通じた社会課題の解決がトレンドである

事業環境を認識し、

デジタル革新による生産性の飛躍的向上を基本方針の一つと している。


🟡旭化成

新中期経営計画

「Cs+ for Tomorrow 2021」

(19年5月)

で、

新規事業を創出する研究開発の基盤となる

多様なコア技術を強化するための

専門集団育成によるDX展開

や、

事業基盤強化のための


DXによる事業高度化

をあげてい る。





大手化学企業 DX

    企業名 内容

   三菱ケミカルホー ルディングス

  「APTSIS 事業説明会」(18 年 12 月)で DX を早期事業化の実現手段 として取り上げている。IBM からデジタル担当重役(CDO)を招き、DX の個別プロジェクトを展開中。


   住友化学

 18 年 6 月の経営戦略説明会資料で「IoT プロジェクト」を「デジタ ルトランスフォーメーション」に名称変更。19-21 年度の中期事業計 画でデジタル革新(DX)による生産性の飛躍的向上を基本方針の一つ としている。



  🟡旭化成

   新中期経営計画で

専門家集団育成によるDX 展開や、

DX による事業高度化をあげている。


   富士フイルム

  AI などのデジタル技術を武器に、

新事業の創出

業務改革

を目指し ている。

具体的には

医療向けで培ってきた画像認識や

AI などの知見を

別事業に横展開しており、

橋りょうなど社会インフラを点検する「ひびみっけ」などのサービスを事業化している。



    JSR

  18 年度経営方針説明会

(18 年 5 月)

エラストマー

デジタルソ リューション、

ライフサイエンス

を核とした事業変革の始動を発表。


 20 年以降の企業価値のさらなる増大、

デジタル変革への対応

を目指 す。


19 年 3 月には 

2~3 年後の CIO 候補として 

DX を推進するセキュリ ティ統括室長を公募。



   三井化学


  19 年 5 月に

シンクタンク

サービスアプリケーション開発企業、

大手 小売業

と共同で、

DX を導入して

一般家庭における食品消費の最適化

と 

それに基づくフードチェーン全体の効率化

の方策を検討する

SFC

(ス マートフードコンサンプション)

構想研究会

を設立したと発表。


 出所:各種報道資料を基に旭リサーチセンター作成。

-3-

ARC WATCHING 2019年7月


特集

◆背景にあるのは企業の自社技術に対するデジタル技術の影響への懸念


日本で

デジタル技術の活用、

それを基にした自社変革

を行うためのDX

に取り組 む企業が増えてきた背景にあるのは、

自社技術に対する

デジタル技術の影響に対 する懸念である。


情報処理推進機構(IPA)

デジタル・トランスフォーメーショ ン推進人材の機能と役割のあり方に関する調査

(19年5月)

では、

自社技術に対 するデジタル技術の影響の大きさ

を調査している。

その結果をみると、

39.1%が

 「きわめて大きな影響を受ける」

と回答し、

これに

「ある程度大きな影響を受ける」

(43.5%)

を加えると

8割以上が

デジタル技術の影響を大きく受ける

と回答している。


出所:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「デジタル・トランスフォーメーション推進人材 の機能と役割のあり方に関する調査」(19 年 5 月)


そして、

デジタル技術の影響として懸念される課題には

「自社の優位性や競争 力の低下」(58.7%)、

「新たな代替製品・サービスの台頭」(52.2%)、

「既存企業 間での競争の激化」(43.5%)、

「新規参入企業による競争の激化」(42.4%

)をあ げている。


出所:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「デジタル・トランスフォーメーション推進人材 の機能と役割のあり方に関する調査」(19 年 5 月)

ARC WATCHING 2019年7月


特集

◆デジタル化への取り組みは進むが、DXの成果はこれから


1

まだ低いDXという用語の普及度


 IPAの調査では、

DXという用語の社内利用について

「あまり使われていない」

(52.2%)、

「聞いたことがない」

(13.0%)

に対して、

「全社的に広く使われてい る」

は7.6%となっている。


これらに対して、

「経営層や一部の部署では使われて いる」は27.2%と比較的多い。


出所:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「デジタル・トランスフォーメーション推進人材 の機能と役割のあり方に関する調査」(19 年 5 月)



2まだ少ない自社の改革につながるDXの取り組み


現在取り組んでいるDXの内容では

「業務の効率化による生産性の向上」 

(78.3%)や

「既存製品・サービスの高付加価値化」(56.5%)

などが多い。


こ れらは

DXへの取り組みを課題にあげていない企業

でも取り組んでいる。


一方、 

「新規製品・サービスの創出」(47.8%)、

「現在のビジネスモデルの根本的な改 革」(38.0%)、

「企業文化や組織マインドの根本的な改革」(27.2%)

などの

自社 の改革につながる可能性が高いもの

はまだ少ない。

   出所:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「デジタル・トランスフォーメーション推進人材 の機能と役割のあり方に関する調査」(19 年 5 月)

ARC WATCHING 2019年7月




特集

3

自社の改革につながる成果もこれからに期待


DXの取り組みに関する成果では、

「業務の効率化による生産性の向上」に関して成果がある

とする回答

(「既に十分な成果が出ている」

既にある程度の成 果が出ている」

合計)が

28.2%となっている。

これに対して、

「現在のビジネ スモデルの根本的な改革」は

4.3%、

「企業文化や組織マインドの根本的な改革」 は1.1%

自社の改革につながる成果は

まだこれから

という企業が多い。

出所:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「デジタル・トランスフォーメーション推進人材 の機能と役割のあり方に関する調査」(19 年 5 月)





◆成果が出ればDXの評価も高まり、全社的な取り組みへと変わる


以上みてきたように、

日本で

DXが注目され始め、

企業戦略や経営計画に取り上 げられてきたが、

多くの企業では

DXへの関心は

経営トップや

これをサポートするスタッフ

にとどまり、

企業の現場までは

浸透していない。


DXに取り組んでいる企 業でも、

その内容は

一定の部署や部門が

デジタル技術を活用して

業務を改善する ことにとどまるものが多く、

自社そのものを改革する全社的な取り組むものは少 ない


そして、

DXの取り組みに関する成果は

まだ分からない

とみている企業が多くなっている。


ただし、

DXに取り組む企業が増えてきた背景には、

自社技術に対するデジタル 技術

影響への懸念がある。


この懸念を解消するために

DXに取り組み

企業その ものを変革することは

前向きな対応の一つである


DXに取り組んだ企業の中から

成果を得るものが

今後増えてくれば、

DXに対する認知度や評価が高まり、

全社的 な取り組みへと変わっていく可能性がある。 

【藤井和則】

ARC WATCHING 2019年7月