2021年10月8日 15:29 JST
中国の電力危機による打撃が
から
オーストラリアの
2)牧羊、
3)段ボール製造
に至るまで世界中に広がりつつある。
今回の電力不足は最悪のタイミングだ。
運輸業界の供給ラインは混み合い、年末商戦向けの衣料や玩具の納入遅れを既に招いている。
中国ではちょうど農産物の収穫期を迎えることから、食料価格の急騰を巡る懸念も強まっている。
オックスフォード・エコノミクスのアジア担当シニアエコノミスト、ルイス・クイジス氏は
「電力不足と減産が続けば、世界の供給サイド問題を引き起こす原因がまた1つ増えることになる。輸出品の生産に影響を及ぼし始めればなおさらだ」
と話す。
成長率の鈍化
シティグループの脆弱(ぜいじゃく)性指数は、製造業と商品の輸出業者が中国経済減速へのリスクに特にさらされていることを示唆。台湾や韓国など近隣諸国・地域の感応度は高く、豪州やチリなど金属輸出国も同様だ。ドイツなど主要貿易相手国もリスクに幾分さらされている。
消費者にとっては、メーカーがコスト上昇分を吸収できるのか、あるいは価格に転嫁するのかが焦点だ。
パンセオン・マクロエコノミクスの中国担当チーフエコノミスト、クレイグ・ボサム氏は
「中国だけでなく世界にとっても、これは製造業に対する新たなスタグフレーションショックのように見受けられる」
と指摘。
「物価上昇が非常に幅広いものとなっている。中国が世界のサプライチェーンに深く関与している結果だ」
と語る。
中国政府は電力供給の確保に向け、事態の収拾に乗り出している。こうした取り組みがどれだけ早期に実を結ぶかが、世界経済への影響を左右することになる。
段ボール
段ボール箱や包装材はコロナ禍の需要急増で既に生産が追い付いていなかった。ラボバンクによると、中国の一時的な操業停止で生産への打撃はより大きくなり、9月と10月向けの供給は10-15%減少する可能性がある。
食品
世界の食料価格は既に上昇、10年ぶりの高水準にある。
中国がトウモロコシから大豆、ピーナツから綿花に至るまで収穫に手間取れば、状況はさらに悪化するとの懸念が広がっている。
ハイテク
既に現地の規制を順守するため工場の稼働を中断せざるを得なくなった企業もある。
米アップルの主要パートナー、
和碩 聯合 科技(ペガトロン)
は
先月、省エネ対策を始めたと発表。
半導体パッケージ世界最大手の
日月光 投資 控股
も
数日間にわたり生産を停止した。
中国でエネルギー供給ひっ迫、iPhone組立生産は省エネモードで継続
電力不足が深刻化すれば、極めて重要な年末商戦を控えた生産に打撃となる可能性がある。
自動車
半導体市場がさらに悪化すれば、部品不足で生産に支障を来している自動車メーカーにとっても頭痛の種が増えることになる。
自動車産業は現在のような局面で保護セクターリストの上位に入るため、これまでのところ電力危機による影響をおおむね免れている。